グリシア風パスタ

 
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】

Pasta alla griciaパスタ・アラ・グリーチャ

このグリーチャは紀元前、ローマ帝国の時代から存在したという伝承も残る古典レシピでローマ三大パスタのPasta cacio e pepeのfiglio(カーチョ・エ・ペペの息子)であり、Pasta all’ amatricianaのpadre(アマトリチャーナの父)とも言われています。

発祥に関する最も可能性の高い説は、この料理の名前はローマ語のgricioに由来しているというものです。

教皇領ローマでは、グリチ[grici]とは一般的な食用食品の売り子のことであり、その多くが当時スイスのグリゾン州に属していたヴァルテッリーナ出身であったことから、この名がついたというものです。

他に別説として、アマトリーチェ近くのラツィオ州グリシアーノ村[Grisciano]で発明されたというというものがあります。

しかし、この説は可能性が低いとされています。理由は大きく二つ、グリシアーノの規模が家の集合体に過ぎない(非常に小規模)こと。

そして、ならば、この場合の表現はグリシア風(グリシアーノ)[Grisciano]であって、現在のグリーチャ[gricia]であることが説明がつかないと指摘されています。

但し、言及すべきこととして、1960年代までアマトリーチェではアマトリチャーナ・ソースはトマトを使わずに作られたため、グリーチャと一致していたこと。

そしてローマではトマトを使ったアマトリチャーナが19世紀後半から存在していたことが確認されています。その為、グリーチャは「白いアマトリチャーナ」と呼ばれることがあることです。

アマトリチャーナのスパゲッティ



更に細かな説には、グリルを意味するのではないか?黒胡椒が入ることでグレー[grigio]になるからではないか?というような論争が続いており、その名の起源は判別不能なのだそうです。

これら発祥の説のいずれを確認しても歴史的にそれほど古くはないのか?という疑問がでてきますが、このグリーチャという名称がこのパスタを指すものとなる遥か昔からこのシンプルなレシピは存在し、食べられていたと考えられているそうです。

歴史がありすぎて全て一説にはと但し書きが入るわけですが、この名前がついたのは10世紀以降(ロマネスク時代)と言われています。とてもシンプルで理にかなった組み合わせだから大昔から親しまれてきたのでしょうね。

羊飼いはグアンチャーレ(塩漬けの豚の頬肉:とても油が多い)を加熱し、油を出し、チーズ(ペコリーノ:羊のチーズ)とペペ(黒胡椒)で調理したのだとか。

ローマと言えばペコリーノ、羊のチーズは濃厚。一般的に使われているはずのチーズなのに日本だととっても高いのでプライベートでしか使えません。

ラツィオ料理の典型的な最初のコース(プリモ)で、あまり知られていないようですが、白ワインや赤ワインを加えて風味を高めることもできます。

グアンチャーレも日本では中々入手ができませんのでパンチェッタ(それもなければベーコン対応です)。

通常、スパゲッティやショートパスタのリガトーニで調理されることが多く、僕はこれらに加えてリゾーニ(お米型のパスタ)で調理します。


グリシア風パスタ材料2人分

スパゲッティ200g
グアンチャーレ120g(代用:パンチェッタ)
ペコリーノ・ロマーノ 30g
塩・黒胡椒適量

グアンチャーレがない場合の代用
オリーブオイル大匙2&パンチェッタ(なければベーコン)60g

1人分:約622カロリー


グリシア風パスタ調理工程(約20分)

STEP1 グアンチャーレを厚さ 0.5 cm のスライスに切ります。好みですが、僕はさらにこまめに立方体にすることが多いです。

ペコリーノをすりおろして脇に置いておきます。
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】の調理工程1
STEP2 熱したフライパンにグアンチャーレを入れ、焦げないようによくかき混ぜながら、中火〜強火で約10分間焼き色を付け、油を出します。

カリカリになったグアンチャーレを取り出して一旦引き上げて確保しておきます。

そしてゆで汁をお玉2杯加え、フライパンの旨味となじませつつひと煮立ちさせたら火を消しパスタが茹で上がるのを待ちます。
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】の調理工程2
STEP3 3Lの湯に1%の塩(大匙2)を入れて沸騰させ、パスタを投下します。表記時間より2分早く上げる予定です。

パスタが茹で上がったらフライパンに投下し、さらにお玉1杯のゆで汁を加え、あえ煮込んでいきます(リゾッターレ)。

大部分のソースがパスタに吸収され、まもなく仕上げというタイミングでグアンチャーレを投下しまぜます。
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】の調理工程3
STEP4 パスタにソースを全て閉じ込めたら火を止めてペコリーノを投下し、必要に応じ、ほんの少しゆで汁を加えて優しく攪拌し、クリーミーなソースにします。
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】の調理工程4
STEP5 ペコリーノが全体になじみクリーミーになったら仕上げです

お皿に盛り付けて、ペコリーノを散らして完成!
グリシア風パスタ【パスタ・アラ・グリーチャ】の調理工程5

グリシア風パスタの調理ポイント

素材三つでありながらこれ以上ないという最合といえる味わいです。

グアンチャーレやパンチェッタが中々手に入りにくいのでベーコンでの調理になると思いますが、その際は、脂身がすくないのでオリーブオイルを加えて炒めて旨味を引き出します。


グリシア風パスタについてマスターの言及


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記事内食材解説・補足
グアンチャーレ[guanciale]豚の頬肉、いわゆる豚トロを塩漬けにして2、3週間熟成させたものです。豚のばら肉を使うパンチェッタ(ベーコン)よりも脂身が多くこの油を加熱して溶かして調理して使います。
読み方:グアンチャーレ
分類:豚肉
代用品:パンチェッタ|
ショートパスタ[pasta corta]ロングパスタに対して短いパスタで、形状が変わると料理の味わいも変わります。その種類は非常に豊富
読み方:パスタ・コルタ
分類:パスタ
スパゲッティ[spaghetti]断面が正円のロングパスタで直径が1.8~2.0mm前後のものをスパゲッティと言います。好みによりそれより少し細いスパゲッティーニを使うケースがあります。 僕は通常、スパゲッティー系はディベラのNo.9 ... [詳細解説へ]
読み方:スパゲッティ
分類:パスタ
代用品:スパゲッティー二
パンチェッタ[pancetta]本来は豚のバラ肉のこと。料理に使う塩漬けした豚バラ肉も同様にパンチェッタと呼ばれ、俗に生ベーコンとも呼ばれます。 部位がバラ肉に限定されている他、ベーコンとの大きな違いは燻製しないこと、それに塩味は逆 ... [詳細解説へ]
読み方:パンチェッタ
分類:豚肉
代用品:ベーコン
ペコリーノ[pecorino]羊の乳を原料としたチーズの総称。羊のチーズは非常に濃厚で味が強いことが特徴。ラツィオ州とサルデーニャ州で作られるペコリーノ・ロマーノは僕もよく使いますが、かなり味が濃いです。 他にペコリーノ・トスカー ... [詳細解説へ]
読み方:ペコリーノ
分類:チーズ
代用品:パルミジャーノ
リガトーニ[rigatoni]形状は短い環状で中心に大きな穴が開いていて、外側には筋状の模様が入っているショートパスタ。
読み方:リガトーニ
分類:パスタ
リゾーニ[risoni]米粒の形をしたショートパスタの一種。各メーカーで名称が異なり、各社それぞれ、リゾーニ(バリラ)、リーゾ(ディ・チェコ)、チコリア(ディヴェッラ)が有名。
読み方:リゾーニ
分類:パスタ
代用品:ショートパスタ
ロングパスタ[pasta lunga]細長いパスタ全般のことを指します。
読み方:パスタ・ルンガ
胡椒[pepe]読み方:ペペ
分類:香辛料

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Ricetta relativa a "ペコリーノ"

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