羊の乳を原料としたチーズの総称。羊のチーズは非常に濃厚で味が強いことが特徴。ラツィオ州とサルデーニャ州で作られるペコリーノ・ロマーノは僕もよく使いますが、かなり味が濃いです。
他にペコリーノ・トスカーノやペコリーノ・シチリアーノ、ペコリーノ・サルドが有名でロマーノよりは少しまろやかという話を聞いたことがありますが、僕はまだ食べたことがありません。
ペコリーノ(Pecorino)は、羊のミルクを主原料とするイタリアの伝統的なチーズで、特に中央イタリアのラツィオ州やトスカーナ州、サルデーニャ島などで広く生産されています。「ペコリーノ」はイタリア語で「羊」を意味する「pecora」に由来しており、ペコリーノチーズは古代ローマ時代から人々に親しまれてきました。
ペコリーノチーズには、いくつかの種類が存在しますが、その中でも特に有名なのがペコリーノ・ロマーノ(Pecorino Romano)、ペコリーノ・トスカーノ(Pecorino Toscano)、ペコリーノ・サルド(Pecorino Sardo)です。これらは全てイタリアのDOP(Denominazione di Origine Protetta、原産地名称保護)に指定されており、伝統的な地域で特定の方法により作られています。
ペコリーノ・ロマーノ
ペコリーノ・ロマーノは、ラツィオ州を中心に生産され、紀元前のローマ帝国時代から食されていた古い歴史を持つチーズです。非常に塩味が強く、固い食感を持つこのチーズは、グレートしてパスタやサラダのトッピングに使われることが多いです。特に、ローマ料理で知られる「カチョ・エ・ペペ」や「アマトリチャーナ」など、ペコリーノ・ロマーノを使ったレシピが有名です。
ペコリーノ・トスカーノ
ペコリーノ・トスカーノは、トスカーナ州で生産されるペコリーノチーズの一種で、他のペコリーノチーズに比べてややマイルドな風味を持ちます。トスカーナ地方の豊かな自然で育った羊のミルクを使って作られ、熟成の期間によりさまざまな風味が楽しめます。フレッシュなペコリーノ・トスカーノは、やわらかくクリーミーな味わいが特徴で、熟成が進むとしっかりとしたコクと香りが加わります。
ペコリーノ・サルド
ペコリーノ・サルドは、サルデーニャ島で生産されるペコリーノチーズで、DOP認定を受けたサルデーニャの伝統的なチーズです。独特の風味と強い香りが特徴で、熟成の進み具合に応じて味わいが変化します。熟成が浅いペコリーノ・サルドは、やわらかく、ほんのりとミルキーな味わいが楽しめますが、熟成が進むとより濃厚で、ピリッとした後味が感じられるようになります。
ペコリーノの生産と地域性
ペコリーノチーズの生産は、地域ごとの風土や気候に大きく影響されます。例えば、ラツィオ州やトスカーナ州、サルデーニャ島は、羊の放牧に適した広大な草原を持ち、そこで育つ羊たちが食べる草やハーブが、チーズの風味を豊かにします。ペコリーノの生産には、地元の伝統的な製法が重要な役割を果たしており、古くから続く技術が今日まで守られています。
ペコリーノチーズの生産には、地元の牧畜業者やチーズ職人たちの協力が欠かせません。多くの場合、地元の農家が小規模な生産を行い、手作業でのチーズ作りが行われています。また、DOP認定を受けたペコリーノチーズは、その品質と産地が厳格に管理されており、特定の地域でのみ生産されることが保証されています。
ペコリーノの料理での使い方
ペコリーノチーズは、その塩味の強さと濃厚な風味から、イタリア料理において重要な役割を果たしています。削ったりすりおろしたりして使われることが多く、パスタ料理やリゾット、サラダのトッピングに最適です。また、ワインやフルーツとの相性も良く、特に熟成されたペコリーノは、赤ワインやフルボディの白ワインとともに楽しむのに最適です。
ペコリーノチーズを使った料理としては、ローマの伝統料理である「カチョ・エ・ペペ」が代表的です。このシンプルな料理は、ペコリーノ・ロマーノと黒胡椒、パスタの茹で汁を使って作られ、ペコリーノチーズの豊かな風味を存分に楽しむことができます。また、「アマトリチャーナ」や「カルボナーラ」などのソースにもペコリーノが使われ、これらの料理に欠かせない存在となっています。
終わりに
ペコリーノは、イタリアの食文化に深く根ざした伝統的なチーズであり、その豊かな風味とさまざまな料理との相性の良さから、多くの人々に愛されています。特にDOP認定を受けたペコリーノ・ロマーノやペコリーノ・トスカーノ、ペコリーノ・サルドは、イタリアの各地域で大切に守られた製法により作られ、その地域ならではの風味を楽しむことができます。ペコリーノチーズは、料理に深みとコクを加え、イタリア料理をより一層引き立てる重要な存在です。
【参考サイト】
分類:チーズ
代用品:パルミジャーノ