ヴァルテッリーナのピッツォッケリ
ロンバルディア州ソンドリオ県テーリオの代表的な料理、ヴァルテッリーナのピッツォッケリです。
ピッツォッケリは、蕎麦(そば)粉と小麦で作る太く短めのパスタです。その構成が8:2であることから日本のニ八蕎麦を連想されます。
Headline
- 1 ピッツォッケリとは?
- 2 語源
- 3 ピッツォッケリの発祥の地
- 4 地理的表示保護
ピッツォッケリとは?
ピッツォッケリは、タリアテッレに似た形をしていますが、より短く幅広のパスタで構成される典型的なヴァルテッリーナの最初のコースで、そば粉(純粋100%または小麦と混ぜたもの)と水で調理されます。
蕎麦だけでは形成がし難い為、蕎麦(そば)8、小麦2程度の比率で混合され、調理されることが多いそうです。
キャベツ、ジャガイモ、バター、ニンニク、カゼラチーズ(ヴァルテッリーナ・カゼーラ)で味付けされます。
パスタの種類と認識しがちですが、正確には「ピッツォッケリ」はパスタを含む料理を指す言葉なのだそうです(但し、地元料理においてもパスタの種類を指す使われ方もしています)。
語源
この言葉の語源の特定は難しく少なくとも以下二つの代表的なものがあります。
小さな部分を意味する「ピット」[pit]または「ピッツ」[piz]という語源。
もう一つは、パスタの平らな形状に関連して、「つぶす」を意味するピンツァーレ[pinzare]という単語に由来しているという説。
その他には、14世紀にダンテ・アリギエーリやジョヴァンニ・ボッカッチョがすでにそう呼び、この典型的なヴァルテッリーナ料理の特徴である貧困と質素さを示す「ピンツォケーラ」[pinzochera]という言葉に遡る可能性があるとする説等があります。
この最後の説が正しい場合、ヴァルテッリーナ・カゼーラの発祥時期は、定説では1500年代と言われていますが、さらに早まり、13世紀頃には存在していたということになることにも言及しておきます。
ピッツォッケリの発祥の地
ピッツォッケリは、ヴァルテッリーナ地方の中心部にあるテーリオの自治体で生まれました。
アカデミー[Accademia del pizzocchero di Teglio]もここにあり、レシピのオリジナルの配合は「登録」されています。
このアカデミーは、ソンドリオ州テーリオの食品とワインの表現を保護すること、そして普及・促進することを目的としています。
地理的表示保護
さらに2016 年に欧州連合から地理的表示保護(PGI)としての承認も取得しています。
食材にも保護されているものがみられ、料理そのものにも保護があります。
以上踏まえますと、ご商売でこの料理を提供する場合には、ヴァルテッリーナのピッツォッケリとしてもガセーラチーズをはじめ、ロンバルディアの食材を使用できない日本においては、単に「ピッツォッケリ」[Pizzoccheri]として提供した方が無難かと考えます。
そばのパスタを使用するということで特徴が際立っており、長文にて紹介となりましたが、総括として、すんごく美味しい!
人生で一度は食しておきたい、そういった料理の一つだと思います。
ヴァルテッリーナのピッツォッケリ材料4人分
サボイキャベツ400g(代用:キャベツ、フダンソウ)
蕎麦粉 400g
小麦粉100g
湯270g
バター150g
ヴァルテッリーナ・カゼーラ200g(代用:乳牛チーズ)
ニンニク6欠片
グラナ・パダーノ DOP 40g(代用:パルメザン)
1人分:約1022カロリー
ヴァルテッリーナのピッツォッケリ調理工程(約70分)
ある程度まとまってきたら生地を取り出し、軽く打ち粉をしたペストリーボードに移します(清潔にした台でOK)。
手で軽く捏ね均一でコンパクトにします。
まず生地を10cm幅にカットし、1cm幅にカットします。
カットしたピッツォッケリの生地がくっつかないように十分に粉をまぶして確保しておきます。
キャベツは皮をむいて芯を取り、葉はヘタを除いて半分に切り、2cm幅の千切りにします。
1%の塩を加え、沸騰したらキャベツ、ジャガイモを加えて8分間茹でていきます。
ニンニクの皮をむき、半分に切り、焦げすぎないようにバターで調理し、黄金色になったら、ニンニクを取り除きます。
お好みでニンニクをそのまま残し、食してもOKです。この調味料は料理の仕上げのタイミングで使用するため、一旦確保します。
同じく、この時間を使ってカゼーラ(チーズ)を立方体にカットし、確保しておきます。
ピッツォッケリ、ジャガイモ、キャベツを穴あきスプーンで湯切りし、皿に並べ、角切りチーズ、ニンニクバターの調味料をかけ、そしてグラナ(パルメザンチーズ)で味付けして仕上げです。
調味料やチーズが均等になじむようにやさしく混ぜ合わせて完成です。
ヴァルテッリーナのピッツォッケリの調理ポイント
蕎麦と小麦粉を練って生地とする作業がある為、やや体力を使いますが、ショートサイズのパスタなので比較的形成はしやすいように思います。
バターにニンニクの風味を移して調味料とする独特の工程がありますが、調理そのものの難易度は低く、本格的で美味しい料理が仕上がります。
思いのほかボリュームがあるので、前菜や付け合わせは軽いものにすることをお勧めします。
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