Fettuccine alla papalinaフェットゥチーネ・アッラ・パパリーナ
パパリーナ(Papalina)はスカルキャップ、いわゆる司祭の帽子を意味しており、Papaは、ラテン語の教皇を意味する「Pāpa」 言葉でもあり、加えてこのパスタの発祥に教皇ピウス12世が関係する為、日本語訳タイトルでは「教皇風フェットゥチーネ」*としました。
このパスタの発祥物語はいくつか説が存在しますが代表的な説を紹介いたします。
1939年に第260代ローマ教皇ピウス12世となった、エウジェニオ・パチェッリが、1950年代初頭に、バチカンのシェフに当時ローマで爆発的人気を博していたスパゲッティ・アッラ・カルボナーラの軽くて消化しやすいバージョンを求めたという説です。
サン・ピエトロの厨房から出てきたこのパスタには、ベーコンの代わりに生ハム、ペコリーノの代わりにパルメザンチーズ、バターで炒めた玉ねぎが入っており、卵黄でクリーミーに仕上がっていたとされます。
しかし、この説を否定する記述として、リヴィオ・ヤンナットーニ(Livio Jannattoni)氏の著書「400の伝統的なレシピで見るローマとラツィオの料理」では、この物語を覆し 、別の発祥物語を示しています。
フェットゥチーネ・アッラ・パパリーナはカルボナーラの母であるとする説です。このパスタは、アメリカ軍がローマに入る前、パチェッリが教皇の座に就く前の1935年に、サン・ピエトロ広場の隣にあった 当時のコロネード・レストランのキッチンで出されていたという説です。
出典:Google 画像検索「La cucina romana e del Lazio in 400 ricette tradizionali」
教皇風フェットゥチーネは、ローマ四大パスタ(カルボナーラ、カーチョ・エ・ペペ、アマトリチャーナ、グリーチャ)ほど有名なパスタではなく、実際、ローマのメイン通りのお店では見かけることのないパスタだと言われています。
家庭料理として根付いているパスタなので、バリエーションが豊富です。基本的なレシピの核は、(トスカーナ産ハムなどの)塩漬け生ハム、卵黄、バターで炒めた玉ねぎ、パルミジャーノです。
このベースに、エンドウ豆(グリーンピース)を加えるバージョン「Fettuccine alla papalina con piselli」が最も多用されるバージョンです(TOP画像及び調理手順)。
また、パルマハムなどのより繊細な種類のハムやクリームを加えるバージョンも見受けられるそうです。
今回レシピをまとめる迄、ローマの料理なのでペコリーノ・ロマーノを使用するものだと思っていましたが、成り立ちを知りパルミジャーノである理由がわかり、腑に落ちました。
イタリア各地にはチーズと卵のパスタ(Pasta cacio e uovaの名称が多い)がそれぞれのレシピで多数存在しますが、その多くがチーズはペコリーノを使用します(パルミジャーノとのミックスもある)。
これらとは系統の異なるパスタなのかなと推察します。
*2019年11月、日本政府は教皇という呼称を使用するとして発表した為、「法王」ではなく「教皇」で表記を統一いたします。
教皇風フェットゥチーネ材料4人分
バター 40g
玉ねぎ1/2個
プロシュット(生ハム) 100 g
えんどう豆(グリーンピース)150g(オプション)
卵黄2個
パルミジャーノ60g
塩・胡椒適量
1人分:約472カロリー
教皇風フェットゥチーネ調理工程(約35分)
透明になってきたらグリーンピースを加え、蓋をして弱火で20~25分煮ます。
グリーンピースを使用しない場合は、代わりに生クリームを100ml加えて、ハムとパスタ・卵を少し増量(共に1~2割程度、パルミジャーノは3割程度減らす)して仕上げるのが一般的です。その場合は調理時間が短くなり15分もあれば出来上がります。
1%の塩を加えた湯を沸かし、パスタを茹で始めます。表記時間より2分早くゆで上げる予定です。
ソースは、卵黄とパルミジャーノを加えてよく混ぜて溶かしておきます。
パスタが茹で上がったらフェットゥチーネとゆで汁をお玉2杯ベースソースに加えてあえ煮込んでいきます。
塩加減を確認し、パスタにベースソースを全て閉じ込めたら火を止めて数回あおって熱を逃がしてからソースを加えて全体に混ぜ合わせてクリーミーに仕上げます。
必要に応じて少量のゆで汁を加えてクリーミーになったら仕上げです。
皿に盛り付けて胡椒を散らしたら完成です。
教皇風フェットゥチーネの調理ポイント
バターを加えて玉ねぎとグリーンピースで煮込み、豆をふっくらと仕上げたら、後はいつも通りの調理です。
非常に簡単でありながらとても美味しい一皿が完成します。
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