炭焼き職人風のスパゲッティ

 
炭焼き職人風のスパゲッティ【スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ】

Spaghetti alla carbonaraスパゲッティ・アッラ・カルボナーラ

カルボナーラの和訳は、炭焼き職人風スパゲッティです。現在では日本、世界において最も知名度の高いイタリアンパスタ料理の一つと言えると思います。

グアンチャーレと濃厚なチーズを卵黄によってまとめ上げた傑作パスタ料理です。

食材一覧~調理工程へのジャンプリンクはこちら

Headline

  • 1 カルボナーラは、当初燻製肉で調理していた!?
  • 2 カルボナーラの源流とローマ三大パスタ
  • 3 カルボナーラの発祥説に否!実は沢山ある発祥説
  • 4 現在ではラツィオ、ローマ料理として定着
  • 5 カルボナーラをクリーミーに仕上げる美味しいレシピ

カルボナーラは、当初燻製肉で調理していた!?

カルボナーラは1944年にローマにあるレストランで生まれたパスタです。 当時、アメリカ兵が入手できた食材(1944年6月4日ローマが連合国により陥落)とローマのシェフの経験と工夫により卵、ベーコン(後にグアンチャーレに変更)、チーズからなるカルボナーラの原型が完成したのだそうです(アングロサクソン仮説)。

僕も調べて初めて知ったのですが、カルボナーラ(という二つ名)になる前のレシピではグアンチャーレでもパンチェッタでもなく、ベーコンだったのですね!当時のローマの状況から想像してみると納得です。

少しずつそのレシピは今日我々が知っているものに進化し、ローマのトラットリア、星付きレストラン、イタリア全土へ、そして海外で味わうことができるようになっています。

カルボナーラの源流とローマ三大パスタ

ローマの三大パスタの一つで、同じ三大パスタのカーチョ・エ・ペペを源流とし、4大パスタとするとその枠組みに入るグリーチャを元にレシピ考案したと言われています。

これらを源流とするパスタであるアマトリチャーナもやはりローマ三大パスタの一つでこれも同系統の派生レシピのパスタなのでカルボナーラとは兄弟と言えそうです。

アマトリチャーナのスパゲッティ



尚、炭焼き職人風は、荒くつぶした黒胡椒が炭に見えることからついた二つ名です。辛みが得意な方は仕上げの黒胡椒はがっつりと皿を覆うように散らしてあげるとよいですよ!

カルボナーラの発祥説に否!実は沢山ある発祥説

さて、実は発祥説は様々あり、その一端として確認できることは、1954年にLa Cucina italiana誌に掲載されたレシピには、卵、ベーコン、グリュイエール、コショウ、ニンニクが材料として含まれていることがあげられます。

同年に出版された報告書では、この時期、ローマの一部のレストランでは、ハムやチーズとしてパルメザンなど、さまざまな代替塩漬け肉が使用されていたと報告しています

ぞう、実はカルボナーラ発祥説は、最初に紹介した、アングロサクソン仮説の他、ナポリ仮説、アペニン/アブルッツォ仮説、ウンブリア仮説等、様々な発祥・地域説が存在するんです。

現在ではラツィオ、ローマ料理として定着

これらが事実とすると、上段でご紹介した説と抵触するように思えますが、少なくとも90年代以降はラツィオ料理、ローマ料理とされています。

カルボナーラをクリーミーに仕上げる美味しいレシピ

ベースソースとパスタの和え方が難しいという声を数名の方から頂きましたので、より丁寧な工程に組み直しました。これで確実にクリーミーに仕上がると思います。

イタリア各地にあるチーズと卵を使用したパスタの中では最も有名で世界的に知られる一皿ですが、日本においては正確なレシピがあまり浸透していないようですのでこれを機に、本場のレシピの味を堪能してみましょう!


炭焼き職人風のスパゲッティ材料2人分

スパゲッティ160g
グアンチャーレ75 g(代用:パンチェッタ又はベーコン60g)
卵黄3個
ペコリーノ・ロマーノ25g(代用:パルミジャーノ36g)
黒胡椒適量

1人分:約680 カロリー


炭焼き職人風のスパゲッティ調理工程(約20分)

STEP1 グアンチャーレ(又はパンチェッタ)の皮を取り除き厚さ1cmくらいの短冊状にし、弱火でじっくりと油を出しながら加熱し、カリカリにします(中火で10分ほど)。

ベーコンを使用する場合、オリーブオイルを大匙1程度加熱してからカリッとする状態に炒めます。
炭焼き職人風のスパゲッティ【スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ】の調理工程1
STEP2 パスタ用に湯を沸かし、1%の塩を投下します(1人前を茹でる場合でも最低でも1L以上としましょう)。

表記時間より2分早くゆで上げる予定です。

その間に、大きなボウルの中でソースを作っていきます。

ペコリーノ・ロマーノに荒く挽くかホールを潰した黒胡椒、卵黄を加え、滑らかなクリーム状になるように混ぜておきます。

必要に応じてグアンチャーレから出した油を少量加えます。
炭焼き職人風のスパゲッティ【スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ】の調理工程2
STEP3 グアンチャーレが炒め上がったら、グアンチャーレそのものは一旦確保し、油はそのままにします。

そこにゆで汁をお玉一杯加えて、フライパンについたグアンチャーレのエキスを削ぎ落すように攪拌し、ひと煮立ちさせたら火を落としてパスタが茹で上がるのを待ちます。

パスタが茹で上がったらパスタをフライパンに移し、ゆで汁お玉1杯を加えてあえ煮込みます(リゾッターレ)。

パスタにエキスを全て閉じ込めたら、数回、あおって熱を逃がしてからボウルにパスタを入れ、グアンチャーレを加えます。
炭焼き職人風のスパゲッティ【スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ】の調理工程3
STEP4 全体によく混ぜ合わせ、必要に応じて少量のゆで汁を加えてクリーミーに仕上げます。

逆に緩い場合は、ボウルを湯煎している鍋の上に掲げて熱を加えながら攪拌し、調整します。

ちょうどよいクリーミーなソースになったら仕上げ。

皿に盛り付けて荒く引いた黒胡椒を散らしたら完成です。
炭焼き職人風のスパゲッティ【スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ】の調理工程4

炭焼き職人風のスパゲッティの調理ポイント

グアンチャーレに加えてペコリーノ・ロマーノをしっかりと加えるカルボナーラは、卵黄によってマイルドになり黒胡椒によって全体の味わいのバランスがとられます。

卵黄は1皿当たり1.5個くらいの分量なのですが複数皿調理の際の卵量に少々気を使うため、当店では少し贅沢に卵黄を2個にしてその分卵白の混入を避けるようにしています。

卵黄量は、チーズ量に比例するため、仮にペコリーノ・ロマーノを当レシピより増やす場合でもある程度は適応できると思います。

逆にペコリーノ・ロマーノの量を減らす場合やパルミジャーノやグラナ、パルメザン等と混ぜ合わせてマイルドに仕上げる場合は、卵白量を増やし、卵黄量を減らす等で調整するとよいと思います。

チーズ系のクリーミーなソースに仕上げる方法はカーチョ・エ・ペペと同じです。


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投稿者: @kumami.nakamura
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記事内食材解説・補足
グアンチャーレ[guanciale]豚の頬肉、いわゆる豚トロを塩漬けにして2、3週間熟成させたものです。豚のばら肉を使うパンチェッタ(ベーコン)よりも脂身が多くこの油を加熱して溶かして調理して使います。
読み方:グアンチャーレ
分類:豚肉
代用品:パンチェッタ|
スパゲッティ[spaghetti]断面が正円のロングパスタで直径が1.8~2.0mm前後のものをスパゲッティと言います。好みによりそれより少し細いスパゲッティーニを使うケースがあります。 僕は通常、スパゲッティー系はディベラのNo.9 ... [詳細解説へ]
読み方:スパゲッティ
分類:パスタ
代用品:スパゲッティー二
パルミジャーノ[parmigiano]パルミジャーノ・レッジャーノ(parmigiano reggiano)はイタリアを代表する牛乳のチーズ。名称は地名(パルマとレッジョ)に由来します。 DOPの認定を受けたものだけが刻印を押されて「パル ... [詳細解説へ]
読み方:パルミジャーノ
分類:チーズ
代用品:パルメザンチーズ|グラナ・パダーノ
パンチェッタ[pancetta]本来は豚のバラ肉のこと。料理に使う塩漬けした豚バラ肉も同様にパンチェッタと呼ばれ、俗に生ベーコンとも呼ばれます。 部位がバラ肉に限定されている他、ベーコンとの大きな違いは燻製しないこと、それに塩味は逆 ... [詳細解説へ]
読み方:パンチェッタ
分類:豚肉
代用品:ベーコン
ベーコン[bacon]通常、イタリアでは燻製した塩漬け肉(我々が認知するベーコン)よりも燻製しない塩漬け肉のパンチェッタを使用頻度の方がかなり高いようです。燻製した塩漬け肉として「Pancetta affumicata」と ... [詳細解説へ]
読み方:ベーコヌ
代用品:パンチェッタ
ペコリーノ[pecorino]羊の乳を原料としたチーズの総称。羊のチーズは非常に濃厚で味が強いことが特徴。ラツィオ州とサルデーニャ州で作られるペコリーノ・ロマーノは僕もよく使いますが、かなり味が濃いです。 他にペコリーノ・トスカー ... [詳細解説へ]
読み方:ペコリーノ
分類:チーズ
代用品:パルミジャーノ
卵黄[tuorlo]読み方:トゥォーロ

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