ミルクの香りが豊かで、ほんのり甘みがあります。原料は牛乳、羊乳。熟成されたものは、固く引き締まり、ピリッとシャープな味わいになります。
カチョカヴァッロ(Caciocavallo)は、イタリア南部を中心に生産されている伝統的なストレッチャブルチーズで、特徴的な形状と豊かな風味が特徴です。名前の由来は「カヴァッロ(cavallo)」で、「馬」を意味し、昔はチーズを熟成させる際に、馬の背に吊るして乾かしていたことに由来しています。このチーズはシチリアやカラブリアなど、南イタリアのさまざまな地域で生産され、特にカンパニア州やバジリカータ州で高い評価を受けています。
カチョカヴァッロ歴史と起源
カチョカヴァッロは古代から作られてきたチーズで、その起源はギリシャ時代にまで遡るとも言われています。イタリア南部の農家では、牧畜業が盛んであり、羊や牛のミルクを使用したチーズ生産が行われてきました。その中で、カチョカヴァッロは特にその保存性と運搬のしやすさから、広範囲にわたって流通し、人気を博してきました。
熟成中に独特の「ペアで吊るす」方法が用いられるため、カチョカヴァッロは、丸みを帯びた楕円形の姿が特徴です。この吊るす手法は、チーズに独自の形状を与えるだけでなく、均一な乾燥を促し、風味を凝縮させる効果があります。
カチョカヴァッロのDOP認証と保護
カチョカヴァッロは、イタリアのDOP(Denominazione di Origine Protetta、原産地名称保護)に指定されているチーズの一つで、特に「カチョカヴァッロ・シラーノ(Caciocavallo Silano)」として認定されています。このDOP認証は、チーズが特定の地域で伝統的な方法で生産されたことを保証し、品質と産地の保護に役立っています。DOPに認定されることで、消費者はカチョカヴァッロの高い品質と、本物であることが保証されているのです。
カチョカヴァッロの特徴と味
カチョカヴァッロは、牛のミルクから作られるセミハードチーズで、熟成の度合いによって風味と食感が異なります。若いカチョカヴァッロは柔らかく、ミルクの風味が強くクリーミーな味わいですが、熟成が進むと次第に風味が深まり、ややピリッとしたコクが増します。熟成期間は通常2か月から12か月で、長期間熟成されたものはハードチーズに近い食感となり、削ったり、溶かしたりして使用されることが多いです。
このチーズは、そのバターのような風味とナッツに似た後味が特徴で、パスタ、ピザ、リゾットなどの料理に幅広く使われます。また、シンプルにスライスして食べることも一般的で、特にワインとのペアリングが好まれます。カチョカヴァッロは、赤ワインや白ワイン、ビールといった飲み物と合わせることで、その味わいが一層引き立ちます。
環境と持続可能な生産
カチョカヴァッロの生産地域であるイタリア南部は、肥沃な土地と豊かな牧草地に恵まれています。この地域の牧草地は、さまざまなハーブや草花が自生しており、そこで育った牛のミルクは、チーズに独特の風味を与えます。地元の農家や生産者は、伝統的な製法を守りながら、持続可能な方法でカチョカヴァッロを作り続けています。
また、カチョカヴァッロの生産には、自然のサイクルや気候条件が大きな影響を与えます。そのため、生産者たちは環境を大切にしながら、持続可能な農業とチーズ生産を実践しています。このような背景から、カチョカヴァッロは「自然と共に生きる食材」として、多くの人々に愛されています。
地域文化とカチョカヴァッロ
カチョカヴァッロは、イタリア南部の食文化において重要な役割を果たしてきました。特にカラブリア州やシチリア島では、地元の祭りや特別な行事の際に、このチーズが食卓に登場することがよくあります。また、地元の市場では、伝統的な製法で作られたカチョカヴァッロが販売され、観光客にも人気の一品です。
特に、カチョカヴァッロを使った料理は、地域の伝統的なレシピにも数多く取り入れられています。シンプルに焼いたり、揚げたりするだけでも、その豊かな風味を楽しむことができ、家庭料理からレストランのメニューまで、幅広く活用されています。
終わりに
カチョカヴァッロは、イタリアの長い歴史と豊かな文化に根ざした伝統的なチーズです。その独特の形状や風味、そして熟成の度合いによって異なる味わいは、世界中のチーズ愛好者に愛されています。DOP認証を受けた品質と、持続可能な生産方法によって守られているこのチーズは、今後もイタリアの食文化を代表する存在として、さらに多くの人々に楽しまれることでしょう。
DOP指定のカチョカヴァッロ・シラーノの他、カチョカヴァッロ・シチリアーノ(ラグサーノ)、カチョカヴァッロ・ポドリコがあります。
参考サイト
分類:チーズ
代用品:モッツァレラ