ヴェネト州ヴィチェンツァ県のアジアーゴ(は高原)というコムーネ(共同体)で生産されているチーズで1000年以上の歴史があります。

イタリア北部のヴェネト州とトレンティーノ=アルト・アディジェ州で生産される伝統的なイタリアンチーズです。特にアジアーゴ高原(Altopiano di Asiago)での生産が盛んで、この地域の名前に由来しています。アジアーゴチーズは、牛乳を主原料とし、その熟成期間によって風味や食感が大きく変わります。大きく分けて、若いフレッシュタイプ(Asiago Pressato)と、熟成させたハードタイプ(Asiago d’Allevo)の2種類があり、前者は柔らかくマイルドな風味が特徴で、後者は熟成による強い香りとコクを楽しめます。

アジアーゴチーズの歴史
アジアーゴチーズの歴史は古く、紀元前まで遡るとされています。もともとは羊の乳を使って作られていましたが、14世紀頃から牛乳が主原料となり、現在のアジアーゴチーズの形が確立されました。中世から近代にかけて、アジアーゴ高原の農家やチーズ生産者たちによって技術が磨かれ、特に地元での消費にとどまらず、イタリア全土で愛される存在となりました。

アジアーゴの生産地域と保護指定
アジアーゴチーズは、イタリアの**DOP(Denominazione di Origine Protetta、原産地名称保護)**に指定されています。これは、特定の地域で伝統的な方法で生産されたことを示すもので、アジアーゴチーズの場合、その生産地域はヴェネト州、トレンティーノ=アルト・アディジェ州、そして少数のエリアに限定されています。DOP指定により、品質や製法が厳しく管理され、アジアーゴチーズのブランドが守られています。

アジアーゴチーズの特徴
アジアーゴチーズは、その熟成期間に応じて異なる風味を持ち、用途も多岐にわたります。若いアジアーゴは、柔らかくクリーミーな食感とマイルドな味わいで、パンやサンドイッチ、軽いサラダなどに適しています。一方、熟成が進んだアジアーゴは、ハードなテクスチャーと強い香りが特徴で、リゾットやパスタ、さらには削ってサラダにトッピングするなど、さまざまな料理に使用されます。

さらに、熟成されたアジアーゴチーズはそのコクと深い味わいから、ワインやビールとのペアリングにも最適です。特に赤ワインとの相性が良く、熟成の長いアジアーゴは濃厚な赤ワインや、フルボディの白ワインと一緒に楽しむと、その風味が一層引き立ちます。

環境と持続可能な生産
アジアーゴチーズの生産地域であるアジアーゴ高原は、豊かな自然に囲まれた美しい地域で、その環境はチーズの風味に直接影響を与えます。高地の新鮮な草やハーブを食べて育った牛の乳は、独特の芳香と豊かな味わいを持っています。さらに、現地の生産者は伝統的な製法を守りつつ、環境保護にも力を入れており、持続可能な農業と牧畜を通じて高品質のチーズを生産しています。

現代のアジアーゴチーズ
今日では、アジアーゴチーズはイタリア国内外で非常に人気があり、家庭料理から高級レストランのメニューまで幅広く使用されています。イタリアの北部地方では特にポピュラーで、地元の食材として親しまれています。また、イタリア国外でもDOP認証を受けたアジアーゴチーズは高い評価を受けており、輸出も盛んに行われています。

特に、アジアーゴチーズはその柔軟性から、ピザやパスタ、リゾットなどの定番料理に加え、チーズプレートやデザートとの組み合わせにも使われます。熟成タイプのアジアーゴは、グレートして料理のアクセントとして使用するほか、そのまま食べても楽しめる食材です。

終わりに
アジアーゴチーズは、イタリア北部の豊かな自然環境と長い伝統に裏打ちされた、高品質なチーズの代表格です。セミハードからハードなタイプまで、その多様な風味と食感は、さまざまな料理に応用できるため、イタリア料理を愛する多くの人々にとって欠かせない食材となっています。また、DOPによって守られた品質基準により、アジアーゴチーズの高い品質が保証されており、今後も世界中で愛されることが期待されています。

当初は羊の乳が使用されていましたが、1500 年頃から高原での牛の飼育が徐々に増加し、牛乳のみが使用されるようになったそうです。

熟成期間で味わいが変わり様々なものが味わえます。熟成したものは粉チーズにしサラダやスープ、パスタなどに使用されます。

参考元

  • Asiagoチーズ公式サイト
  • イタリア商工会議所連合(Unioncamere)
  • DOP認定についての説明(Agricoltura e Foreste)
  • 読み方・分類・代用品読み方:アジアーゴ
    分類:チーズ
    代用品:パルミジャーノ