
Pasta ai funghi matsutakeパスタ・アイ・フンギ・マツタケ
松茸をパスタにする。僕にとってこれは、日本の食材を珍しくイタリア風にアレンジするという感覚の料理ではありません。普段から僕が基準にしているイタリア料理の考え方と調理方法の中に、香りの強い松茸を自然に取り入れた一皿です。イタリアには秋になるとポルチーニ茸をたっぷり使ったパスタがあり、バターやオリーブオイルで茸の香りとうまみを受け止めて麺にまとわせます。その料理の組み立てを松茸で考えてみると、とても素直につながります。
今回使ったのは、幅広の平打ちパスタ、パッパルデッレです。松茸のように香りが主役になる茸には、僕はタリアテッレやパッパルデッレのような平打ち麺が特によく合うと感じています。表面積が広いぶん、バターとオイルをまとった松茸の香りをしっかり受け止めてくれますし、麺を食べるたびに茸の存在感も一緒に感じられます。
松茸は、日本の秋を代表する香りの強い茸で、その独特の芳香こそが大きな魅力です。人工栽培が難しく、国産のものは希少で高価な食材でもあります。だからこそ、手に入った時には味を重ねすぎず、松茸そのものを中心に据えて料理したくなります。僕がイタリア料理に惹かれている理由の一つも、一つの食材を主役にして、できるだけシンプルな調理でその素材をおいしく食べられるところにあります。

このパスタも、味の土台はとてもシンプルです。バターの丸みとオリーブオイルの香り、にんにくの気配を重ね、最後にパセリを少し。松茸そのものの香りを消さないように火を入れすぎず、ゆで上がったパスタと短時間で合わせます。バターは松茸の香りをふわっと広げ、オイルはソースを麺全体になじませてくれます。地域料理や農民料理を基盤にしたイタリア料理には、手元にある食材をどうおいしく食べるかというところから生まれた、シンプルで実用的な料理が多いという感覚があります。この松茸のパスタも、僕にとってはその延長線上にある料理です。
今回はパッパルデッレで作りましたが、タリアテッレでももちろんおいしく仕上がります。一方で、ショートパスタにするのも僕は好きです。平打ち麺は松茸の香りをまとわせる楽しさがありますが、ショートパスタは扱いやすく、茸と一緒にすくって食べやすい。少し気軽に楽しみたい時には、ショートパスタならではの良さがあります。
とはいえ、松茸は僕自身も気軽に買って普段から使うような食材ではありません。たまにありがたいことに松茸をいただける機会があり、そんな時には、僕はこうしてパスタにして食べたくなります。炊き込みご飯や焼き物といった食べ方もよく知られていますが、香りの強い茸をシンプルに調理してパスタと合わせるというのが、僕にはとても自然です。ポルチーニ茸のパスタと同じように、素材の香りを中心に据えることで、松茸の個性がきれいに生きてきます。
秋にしか味わえない、とても贅沢な一皿です。松茸が手に入ったなら、僕にとってはぜひ一度食べたい料理の一つです。香りを主役にして、バターとオイル、そして幅広のパスタで受け止める。素材が特別だからこそ、料理はできるだけ素直に仕上げる。そのシンプルさが、このパスタにはよく合っています。
松茸のパスタ材料4人分
松茸 300g
バター 50g
エクストラバージンオリーブオイル 35g
にんにく 1片
イタリアンパセリ 1束
塩 適量
黒こしょう 適量
1人分:約475カロリー
松茸のパスタ調理工程(約30分)


松茸のパスタの調理ポイント
松茸は香りが大切なので、汚れは水で洗い流さず、布でやさしく落とします。
炒めすぎると香りが弱くなるため、食感を残す程度で火を止めます。
パスタのゆで汁は一度に入れず、少量ずつ加えてバターとオイルを乳化させます。
平打ち麺はソースをまといやすく、松茸の香りを感じやすいですが、ショートパスタでもおいしく作れます。

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